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[コメント] クライマーズ・ハイ(2008/日)

第三の女
uyo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







冒頭の、社の窓から下の渡り通路を眺める、という映画的構図から原田節全開で、心地いいし、相変わらず、熱い男たちの集団が右往左往している図もわくわくするのだけれど、

キャストの三番目に「尾野真千子」が来ているというところが感慨深い。

男性といっしょに仕事や生活をしている時、「女性としてフォローして欲しいところと、かまわないで突き放してほしいところ」のツボを、しっかり押さえてもらえると、たまらなくウキウキと楽しくなるもの。往々にして真逆のツボを押されたりすることもあり、「そこを助けてくれないの?」「そこんところはかまわないで!」と忸怩たる思いにさいなまれる。女性も男性に対して、お互いさまだと思うけど。

いい男(女)はその察しがよくって、引き際も見事。いつまでも自分のやり方を変えられず、思い込みがひどくなるとストーカーのレベルに。

この映画の男の人たちの、ヒロインに対する扱い。個人的にはそのツボがちょうどいい。お互いへのリスペクトが大前提で、「志」の高さが同じで、覚悟を決めている時には、泥水の中に突き飛ばされたってどうと言うことはないのだ。人生も仕事も。むしろそれこそが信頼関係につながる。

昔読んだ山本鈴美香のマンガの中で、唯一の「カッコマンの条件」としてあげられていたものは「自分をかばわない人」だった。

そうだよなあ。

わたしは、「何事にもリスクを負える人」としたいかな。近いけど。

それって自制心と、理性と、情熱から来るものだと思う。この映画に出てくる男性たちは、どんなに憤っても、自分の立ち位置にふんばりながら、どこか「エゴ」からはひとつ高いところに存在している。それが「社会人」であり、厳しくも豊かな大人の世界、と言うものなのではないかと思う。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ぽんしゅう[*] けにろん[*]

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