ここで期待されるのは言うまでもなく、尻尾が生えたことに驚き恥らう宮崎あおいタソを外見的にも心理的にも丹念に舐め回すように追いかけることです。ところがこの映画は何を勘違いしたのか中盤から「マイノリティ差別いくない！」などという生真面目なテーマが飛び出し（本当）、挙句には家族賛歌を謳いあげる始末です。

宮崎あおいが宮崎あおいでいられる時間は短く、その瞬間の輝きをフィルムに焼き付けることは何よりも優先されるべきと考えます。その義務を怠り、中途半端な青年の主張、青春メッセージなんぞに尺を費やした作り手には最大限の降格を申し渡したいと思います。