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[コメント] 東京マリーゴールド(2001/日)

小澤征悦はヴィンセント・ギャロorショーン・ペン

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







●見栄、虚勢、意地、不信、疑心、それらゆえの孤独。『バッファロー'66』のヴィンセント・ギャロが演じてみせた、そんな救われない「男」の話。『東京マリーゴールド』の小澤征悦が演じる男もまさにそんな「男」だった。

市川準は、孤独であることがカッコいいなんて思ってるバカ男たちの脳天をぶち抜く。たとえばそれは、映画の中になにやら暗示的に挿入されるあのCM。様々な人たちの手から手へと繋がれていくボールの放物線は、他者の繋がりにおいてこそ「私」というものが存在することを示しているのではないか。いや、そんなことはイチイチ言われなくたって、バカ男たちもわかってるのだ。わかっていても、見栄を張り、虚勢を張り、意地っ張り、だれも信じず、他人を疑い、孤独へと自分を追い込んでしまう。『バッファロー'66』のヴィンセント・ギャロは、クリスティーナ・リッチとの恋によって他者を発見し、その孤独を中和させ癒された。しかし、市川準の方は、徹底してバカ男(小澤征悦)を突き放すかたちで映画を閉じている。それはまるでウッディ・アレンの『ギター弾きの恋』のような心がヒリヒリするラストだった。ヴィンセント・ギャロがその類稀なるナルシズムによって『バッファロー'66』をハッピーエンドな「癒し系」映画にさせたのとは全く反対の、結局救われなかったバカ男のバッドエンディング『東京マリーゴールド』。その瞬間、小澤征悦がショーン・ペンに見えた。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)けにろん[*] セント[*] ゆーこ and One thing[*]

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