『ターミネーター』シリーズの第三弾｡

監督がジェームズ･キャメロンからジョナサン･モストウに代わり､全体的に悲壮感があった過去２作と違い､普通のアクション映画になったという印象｡

映画的には過去２作の資産を流用したいいとこ取りという感じで演出にも設定にも目新しさがない｡また､ストーリー的にも４作目もしくはターミネーター戦争への橋渡し的な作品で､この作品がなくても設定上は困らないと言う位置づけのせいか､盛り上がりに欠ける｡

新しいターミネーターＴ−Ｘは女性形で､何種類かの武器を内蔵し､メカを遠隔で操れる点以外はＴ−１０００と同じような能力で､インパクトにやや欠ける｡ただ､演じるクリスタナ･ローケンは､何度ダメージを受けても無表情な顔､そして､感情のない人形のような目の動き､時折見せる冷酷な笑みなど､人間の姿を装うサイボーグというキャラをうまく引き出している｡

一方､シュワルツェネッガー演じるターミネーターＴ−８５０の方はどういう意図なのか､ギャグをやらせたりするシーンが何度かあり､またしゃべりにも人間味があり､前作に比べ存在感が軽くなっている｡はっきり言うと､彼を引き立たせるかっこいい演出をなぜか今回はあまりやっていないので､かっこよさを感じられない｡

主演のジョン･コナー役ニック･スタールはどう見ても顔がマイケル･ビーンぽくて､いいキャスティングだと思うが､やってることが１作目の焼き直しという気も｡ケイト役クレア･デインズは最初見た時はなんか顔が一気に老けたというか､『ロミオ＋ジュリエット』あたりから見ると､別人のような気さえしたが､演技は悪くなかった｡

特撮では白昼のトレーラーのチェイスが見所だが､ややカメラアングルやシーンの切替が悪く､もう少しうまくやれば､もっと迫力と緊迫感のある映像を出せたような気がする｡

全体的には『ターミネーター２』の別バージョンもしくは焼き直しといわれても仕方ないような作品で､特撮や役者の演技そのものは悪くなかっただけにストーリーに新しいエピソードを組み込んで欲しかった｡