荘厳なクジラと一途な少女の関係が良く出来ている。少女とクジラは不自然に対話する訳でもない。クジラは現れ、パイケアをホエール・ライダーと認めて、海に帰って行く。さらに言えば、少女を殺しかけてしまう。クジラと人間は明らかに住む世界が違うが、一瞬だけ２つの世界が交差する。それを導いたのが主人公のパイケア。この一期一会で、マリオ族は再び祖先からの伝統を受け継ぐようになる。

最後はめでたいハッピーエンドであるが、人間と自然（クジラ）との関係は決して甘いものではない。突き放したその関係こそ、人間と自然が共生する一つの解なのだと思う。