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[コメント] フロム・ヘル(2001/米=チェコ)

ロンドンと書くより、倫敦と書いたほうが相応しい雰囲気。
G31

実際に未解決の事件を題材としているので、暗澹たる結末にならざるを得ない。そこを逆手にとって、19世紀末倫敦の重厚かつ陰鬱な雰囲気を前面に描くというアイデアは巧いと思うし、実際かなり成功している。それは凄いと思うけど、それだけでは映画として楽しめないし、事件が他人事として描かれるせいもあり、怖くもない。

多分、ホントはやっぱり、“切り裂きジャック事件の真相はこれだ!”ってのをやりたかったんだろう。だがそのわりには、(真実にどこまで迫っているのかとは別の次元で)そのアイデアでは“面白くない”し、(人によって感じ方の違う所かもしれないが)たいして説得力もない。

不遜ながら、どうせやるなら謎解きパートにはさっさと片を付けて、なぜ真相が封印されたのか、って話しに工夫を凝らした方がよかったんじゃなかろうか。せっかく榎木津みたいな“超能力”警部(ジョニデ)なんてキャラが出てくるのに、彼の幻視能力(?)が事件解決にちっとも役立たないのは、極めてもったいない(映像的な処理も悪くないのに)。

21世紀になりようやく(これも彼の“能力”のおかげで)封印が解け、この映画で初めて真相が明らかにされる、って感じの話にしておいた方が、「20世紀は私が幕を開ける」とか言うジャック・ザ・リッパーの戯言にも、もう少し説得力が出たんじゃなかろうか。そして、この作品も「21世紀の幕を開けた」と呼ばれる作品に成り得たかもしれない。(それはないか)

60/100(02/04/21見)

注1)私自身は“切り裂きジャック事件”に興味もないし、知識もない。で、この映画を観たことによって興味が沸いたかというと、それもない。

注2)榎木津って・・・。すいません最近ようやく『鉄鼠の檻』(文庫版)読了したばかりなもので。(誰か京極堂シリーズ映画化してくれないかなー)

注3)千変万化のジョニデとは言え、打ち出の小槌(ジョニデの小槌?)じゃないっつの。打ち振りさえすればどんなキャラでも出てくるわけじゃーない。(ジョニデ本人は健闘してたけど)

注4)画面は全体的に暗かったけど、陰影がはっきりしてて見やすいと感じました。ヘザー・グラハムの谷間なんて、眩しいくらいに白かったもの・・・。

(評価:★2)

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