映像のピントが甘く、話にも焦点のボケた感じがあるが、この青臭さは嫌いじゃない。

　主人公が、スリ集団の首領という設定であり、そうでなけりゃ成立しない話の構成にもなっているけど、見た目がちっともそんな風に見えないんだよね。そこらへんでくすぶってるボンクラのお兄ちゃんという感じ。カラオケ・バー（あるんだ）の女性との煮え切らないデート譚の方に圧倒的にリアリティがある。どこまで期待していいかわからないという、ある種の臆病さといったようなもの。映画みたいなもので掬い上げるのはなかなか難しい感覚だと思うのだけど、実際、あまり面白くない。自分じゃ始末のつけられない感情の理不尽さを取り上げようとしているところは、買い。

75/100（08/05/11見）