端的に言って、メッセージに論理性がない。“お国のために死ぬ覚悟はできていた”当時の生身の日本国民に向き合う姿勢は、近年になく真摯だったと思う。だが、“だから、戦争はあってはならない”という主張が成り立つなら、同じように“だけど、戦争はなくなりはしない”という言い方もできると思う。映画から、ぎりぎりと絞り出されるように伝わってくるものがないのだ。

　息つく間もなく台詞が積み重ねられたり、身なりが不揃いの楽団がたびたび登場したり、といった映画上の小技を駆使しすぎな点も、この思いを裏書きする。しかし、小技そのものは、繰り返される内に受容できた。映画としては、まあアリかな。

80／100(14/07/06見)