[コメント] シモーヌ(2002/米)
コンピューター関係やら、映画制作現場等の突っ込みだらけのトンデモ設定の中で先が読めず暴走するストーリー、笑えない脱力ギャグ。
『トゥルーマンショー』の時も思ったのだがアンドリュー・ニコルは、虚構に踊ったり耽溺する人間や大衆を、皮肉ったり批判的なスタンスで描いているのか、逆に肯定的なのかさっぱりわからない。あるいは、もしこの相反する2つの考えが両在するアンビバレンツな様を描きたいのなら、きちんとアイロニーのドラマとして昇華させて欲しい。と、疑問を感じながら見ていると、意味不明なラストを見てよりいっそうその思いは強化されたり。
そして、シモーヌを作り出すガラテイアたるアル・パチーノと、ピグマリオンたるシモーヌとの自己愛を描いたナラティブやら、シモーヌのA.Iが独自性と自我を獲得するといったサブプロットもまったく機能していなかったり。例えば、唐突なコンサートシーンへの展開やスタッフロール後のオマケには、ズタボロのストーリーを編集でカットしまくって適当につないでいると推測する材料の一つになりそうだ。
まあ相当に駄目な映画で本国で大コケしたのを想像するのも難しくないのだが、この変で珍妙さ加減がかなり気に入ってたりもするのだ。
気に入ってる部分を列挙してみる。時代錯誤のヘンテコ近未来の設定なり小道具(5インチフロッピーは良い、作り手がレトロさを狙ってやったのか無知なのか微妙なあたりが特に)や、キャサリン・キーナーやエバン・レイチェル・ウッドが、シモーヌを演じたレイチェル・ロバーツ以上に、存在感があって綺麗に撮れているとか。特に、アル・パチーノの娘を演じるエバン・レイチェル・ウッドが素晴らしい。
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