[コメント] 欲望の翼(1990/香港)
時々笑い顔が赤ん坊のようになるレスリー。それは、その顔をやろうと思ってやるのか、うっかり笑ってしまうのか。この冷たい男にたいそう不似合いだった、そのかわいらしい笑い顔がいつまでも気になってしまう。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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あたしはこの予告編に、きゅぅっとなってしまって、当時わくわくしながら、映画のかかるのを待っていた。それを、見逃してから10年近くたった。
「どんな関係だ」。これ以上傷つく言い方はほかに思いつかない。ヨディ(レスリー・チャン)のトゲがビデオの百倍も突き刺さるのを感じながら、ひどく懐かしい気持ちになった。
それでも、女は立ちなおって、夜警のいたところへ電話をかけてみる。夜警は、船乗りになって遠くへ。そして、ある女は、男を追いかけていく。その女にカネをつくってやる男。それぞれが、次のステージに向かって動き出そうとしている。
意味なく人生を浪費する空っぽの男がたった一度情熱を注いだ肉親探し。「望まれた子なら、とっくに探しにきてるはずでしょう」。養母の言葉を反芻しながら、自分の鼓動に戸惑いながら、彼なりに想像していたいくつかのシーンを、ついに見ることはなく、落胆を隠して大股に去っていく哀しい後姿。
足のない鳥を気取ってたつもりだった男。物理的な死を予感したときに思ったことは何だったのだろう。もう、やりたいと思うことはなかっただろうか。生きることへの執着は失せたままだっただろうか。開いたままの目は最後に何を見たんだろう。
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