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[コメント] 戦場のピアニスト(2002/英=独=仏=ポーランド)

ポランスキーの「真実」をフィルムに焼き付けた渾身の一作。
トシ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ポーランドのゲットーを舞台に繰り広げられる悲劇、目を背けたくなるような描写の数々。見ていて結構つらい。 主人公である「シュピルマン」の存在感は極めて薄く「狂言回し」の役割を演じて、オスカーに値するかどうかは疑問である。生への本能的執着心で巧みに生き抜いていく姿はみっともない風にもとれる。潔さとか、家族愛、正義感、勇気、友情、等通常の映画に見られるものは微塵にも見てとれなかった。そういう意味では 「奇跡的」映画かも知れない。

ポランスキー監督が撮りたかったのは、「シュピルマン」を取り巻いた歴史の断片ではなかったろうか。路上に転がる数々の死体、次々と消去されていく命。冷徹なカメラを通した視線の裏には「ポランスキー」の情念が感じられる。 圧巻は廃墟と化した街に一人立つ「シュピルマン」の映像だ。 戦争の終わりには、何も残らないという事が見事に表現されていると思う。

しかし個人的にはもう見たくない映画である。『シンドラーのリスト』と同じように。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)映画っていいね[*] tkcrows[*] ゾラゾーラ[*]

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