[コメント] アメリ(2001/仏)
1月8日晴れ、シネマライズはやはり込んでいた。早め来ておいて正解。映画を観る為に初めて並ぶ。人込みが嫌いなので少しイライラしながらも、シネスケでも評判のアメリだけにワクワクはやる気持ちを抑えきれない。館内は満席。物を食う人の数に驚く(普段どれだけ話題作を観てないかが分かるが)。映画が始まってもガサゴソやられちゃかなわんなぁ...と思いつつ、上映開始...そして気づいた時には終わってた。隣のうるさいカップルもおばちゃん達も、そこに存在していないみたいに気にならなかった。まるで一人で観ているような感覚。こんなことは初めて。去年の暮、念願叶って『2001年宇宙の旅』を劇場で観た時でさえも、いびきのおっさんが気になったというのに、これは一体どうしたことだろう。劇場を出て渋谷の街を歩く、いつもはイラつく街の雑踏が微笑ましく思えたのは言うまでもない。
コメンテーター諸氏の意見には納得。確かに中だるみは感じたし(ほんの少しだけど)、ニノの人物描写も足りないと思う。しかし、そんな欠点を補って余りある「なにか」がある。
「なにかある。本当になにかがそこにある。といってその気持ちを口に出せば、もう空ぞらしいものになってしまう」(梶井基次郎「城のある町にて」)
そんな一節がふと思い出される。梶井はこう紡いで行く。
「例えばそれは故のない淡い憧れといった風の気持」
まさにアメリは淡い恋への憧れ、緩やかに吹く風のようにささやかな憧れを喚起させて止まないのだ。
しかし、こんな映画があるから、なけなしの金はたいて映画館に通ってしまうのだろうな。うーん、罪作りな作品だよ。本当に...
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