[コメント] セーラー服と機関銃(1981/日)
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流せないモノが映っていたということだろう。構図的には、渡瀬の黄門か玉服露なんだが。
佐藤允の組事務所に単身乗り込んだ薬師丸ひろ子が、クレーン車に吊らされて液状のコンクリート(ただの灰色の泥だと思うが)に何度も浸けられるシーンがある。リアクション芸人しか演らされないようなことを、当時は主演女優が普通に演らされていたのだなあ。
ラストシーンの一つ前。街の雑踏を冬服の制服で一人歩く薬師丸を、望遠でゲリラ的に収めるシーンがある。『七年目の浮気』のマリリン・モンローみたいに、足元の通気孔からの風でセーラー服のスカートが膨れ上がる(めくれはしない)。アッと言うまに周囲を群衆が取り囲むが、あれは一般の通行者なのかエキストラか。
麻薬の元締め?「ふとっちょ」(三國連太郎)のアジト?へ拉致られた薬師丸を救出に潜入した渡瀬は、銃撃に追われ、2人でなぜかオペ室に逃げ込む。入り口の観音扉は鋼鉄のように頑丈で、閉じると銃撃を阻む。なぜかそこらに棺桶?様のモノが3箱?置いてあり、いかにも重そうな仕草をしつつ2人で扉の前まで異動させる。扉の向こうの敵?たちは、異動させ終わるまで待ってくれたようだ。だが、モノはとても軽い物だったと見え(やっぱりな)、敵たちが押すと扉はあっけなく開くのだった。
先代の遺言の直系という理由で、ヤクザの組長を引き受ける羽目となった女子高生が、密輸ヘロインをめぐるヤクザ間抗争に巻き込まれるといったストーリーが一応あるが、そんなことはまったくどうでもいい。せいぜいのところ、女子高生が組長になるということの「ギャップ」が多少なりとも醸し出せればいいかなあという程度の目標でしかないと思われる。そんなことより、18〜19の新進女優に、「愛人」「カラダ」挙げ句の果てには「カイカン」と言わせたり、濡れ場に立ち合わせたりすることが、当時はよっぽどセンセーショナルなことだったのだろうとしか思えん。せめて、演題にあるんだから、機関銃の乱射シーンぐらいは徹底的に迫力を追求してほしいところだが、オモチャのチャチャチャみたいで話にならない(個人の主観です)。
なんと言うか、暴力とかヤクザとか刑事とか悪、悪党、悪事みたいなものを、すべて骨抜きにしてふにゃふにゃにすることが目的の映画なのだと言われたら、そんなものかもしれない気はする。
これが当時の年間配給収入邦画No.1なんだそうだ。これでは同時代の日本映画を観る気が失せるというのもよく分かる。
65/100(24/12/15テレビ録画見)
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