[コメント] 清作の妻(1965/日)
凄まじい出来の映画。このレベルの狂気に論理的に妥当性を与えて観客に共感させるというのは相当難しい事の筈だけど。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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大日本帝国の頃は今より個人の自由の範囲が狭い時代だったので慣習や掟の類が個人より優先することが多い時代で女性は妾になったり、農家の次男坊は戦争に行く事になったりする事が普通だった。
その大日本帝国が究極の終末を迎えるまでの流れにおいての日本人の自らを掟の中に律しながら緩やかに滅んでいく様子が実は一番心に響く。妾を馬鹿にする人々、戦争に行く中で大怪我をして戻れば幸運だという人。逆に死をもって貢献することを究極の尊さと言う人。この村の閉塞感のほうが私に突き刺さるんだ。そういう保守的な自分もあるから。
私はこの映画は周辺への弾劾というよりも最後のセリフ、迫害があっても逃げずにここで生きていこうというところに価値があると思う。増村映画の軸はいつでもそこにある。
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