[コメント] サンライズ(1927/米)
本当にだめな男だ。はっきり言って最低だ。でも、そんな彼を好きでしょうがない妻の気持ちもわからなくはない。ぎこちない謝罪やフォローが、また格別な愛おしさを増しちゃうのだろうな。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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びゅいーんと凹む「couldn't she get drowned?」の凝った字幕や、多重露光を駆使した幻想&回想シーン、この時代にしてはがんばってるじゃん!の嵐の再現、夫の叫び声に合わせた擬音の趣向、ダークな気持ちにそって強調される影、車窓を流れてゆく森と町のそれぞれの景色、遊園地からピュルピュル打ち上がる縦長の花火、箱カメラからのぞいた可憐な逆さまキス、変な頭をのせられた彫像のおかしみ、ゆうれいブタの道化っぷり、やたらとハッピーなダンスダンスダンス、水辺を照らす寂しげな灯り、最後の最後にあふれる光。
映画を映画たらしめるための魔法がてんこもりで、楽しいったらありゃしない。これはもう、美というよりもワクワク映像の万華鏡だ。
でも、いちばん好きだったのは、教会で涙を流す男の表情と、理髪店でヤキモキする妻の表情と、妻が助かったことを知らせるうれし涙の女中の表情と、村を去りゆく都会の女の切ない表情。台詞なんてなくても、特別な演出なんてなくても、それだけでドラマが成立している。
つまり、サイレントの魅力もスパークしまくりっ。
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