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[コメント] トラフィック(2000/独=米)

結局はそれぞれが交差したところで、「面白さ」も「映画的興奮」も束にはならないトコロが、大きな評価の分かれ目なのだろうか。
くたー

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







接点は接点でしかなく、ただそれぞれのエピソードがそこで「すれちがう」のみ。通過点でしかない。

様々なテクニック自体も、そこから映画的興奮が醸し出される類のものではないのは、相変わらずの無機質な男ソダーバーグといった感じ。それでも題材自体が安易に解決できない空虚さがつきまとう種のものだけに、ヘタに感情過多になるよりは良いのかもしれませんが。

ラストのささやかな「希望」らしき光が、少なくとも「正義」の光ではないところが、等身大であって良いかと思う。例え何かあればかき消されてしまう類の弱々しい光であったとしても。娘の更生のエピソードは、言いたいことは分かる(彼にとっての最前線は家庭にあった)が、あまりに平凡。ゼタ・ジョーンズが絡むエピソードの締めくくり方は、正義なんてないことが分かっている上での解決の仕方だとは思うが、その「勝利の苦さ」が描ききれてないところが、やや不満でもあり。

全体を通しての感想は、「この題材を撮りたい」という切迫したものよりも、「このテレビシリーズをうまくまとめ上げてみたい」という知的な愉しみが撮らせた映画という印象。核(テーマ)となるものが熱を帯びてないというか・・・。少なくとも『エリン・ブロコビッチ』では「ブロコビッチが撮りたい」「ジュリア・ロバーツが撮りたい」といった監督の思いが伝わってきただけに、この程度ではいささか不満デス。

(評価:★3)

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