[コメント] ゴジラ×メガギラス・G消滅作戦(2000/日)
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頬が紅潮しひきつったような田中美里の顔は、迫真に満ちていてなんとも素晴らしい。実際の軍隊の隊長たるものがこんな表情をするのかどうか、してよいものかどうかはともかく、そこにまごうかたなき巨大な怪物と正対しているかのような感触がありありと伝わってきます。特にお台場でゴジラを誘導中の戦闘機の上空にメガギラスが出現した時の「例の渋谷を襲ったメガギラスがっ!」って言う時の驚きと悔しさに歪んだ表情は忘れることができません。怪獣もので怪獣を見つめる演技というのは、ある意味演技術としては高度な技術を要することなのかも知れないけど、それ以上にどうなんでしょう、やはりテレみたいなものがあるのではないでしょうか? それをあれだけ真剣に演技できるプロの役者魂に、いや、というか、「男の子の遊び」にこんなに理解を示してくれる女性ということに、感激です。メカゴジラの釈由美子の勇ましくてセクシーないわゆる「戦闘ヒロイン」タイプとはまた違った魅力の、男のキャラには出せない表情を持ったヒロインを具現させた、女優として優れた演技だったといえるのではないでしょうか。ゴジラの背びれに(というか身体に)初めてしがみつき(私の鑑賞範囲内での記憶です。違うかも。)、対ゴジラ戦では数少ない人間側の勝利者(「一旦は」でしたが…)としてその戦場に仁王立ちしているのが女というのが、男としてどうか?とか、小学生時分のような気分も久しぶりにこみあげ、ともあれこの一作で田中美里という女優が大好きになりました。
それでも充分だったのですが、古代虫の群れに襲撃されるゴジラや、水没する渋谷(救命ボートにやはりいたか!やまん婆娘発見!)、自分の操縦する戦闘機を自動追尾させ落下する宇宙兵器から砲を放たせるところとか、センスオブワンダーを感じさせてくれる絵もあったし、他の近作では、夜間の、光線の乱射とよくわからないもみあいの挙句倒れるだけのようなのが多かった怪獣同士の格闘でも、今回のは起伏があって時代劇の主人公と敵役の一対一の最後の対決のような面白さもあった。尾の触針を食いちぎり(これが急所だっていうのが何となく暗黙の了解になっちゃうのが面白い)とどめの放射線を吐いて炎上させる場面では、ひさびさに「よっしゃ!」という気分を味わいました。
ミニチュアを始めSFXの出来のしょぼさが返す返すも惜しまれます。
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