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[コメント] カスパー・ハウザーの謎(1974/独)

サイレント映画を思わせる序章部から始まり、全篇クラシカルな雰囲気が漂う静謐な画面。しかし、確かにそれは「声にならない叫び」を内在した静けさだった。
くたー

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







人間であることを拒絶するかのような、カスパーの悲しげな無表情。いや、この「悲しげ」という印象も、人間が勝手に決めつけてるだけなのかもしれない。そして、いつも「始まり」から先が続くことのない、彼の創り出す物語。

読み書きを学び、二足歩行を学んで、スタートラインにまで辿りつきながらも、そこから一歩を踏み出す「動機」が、結局最後の最後まで見つけられなかったカスパー。うまく言い表せないけど、「ヒトが人であることの傲慢」みたいなものを、彼を通して突きつけられた気がする。

カスパーが生涯感じ続けた絶望に、言葉を失う。

(2004/10/30)

(評価:★4)

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