[コメント] アンドリューNDR114(1999/米)
オレはアイザック・アシモフの小説を愛する者です。
私見ではアシモフの小説の本来の面白さとは、ロボット工学三原則に代表される論理の面白さ。ただ、アシモフのヒューマニズム(間違いを承知で「人間味」と訳したい)がロジックを超えてあふれ出すことがあり、その時は心を揺るがす傑作が生まれるのです。この映画のもともとの原作「バイセンテニアル・マン」のように。
「バイセンテニアル・マン」がクリス・コロンバス監督、ロビン・ウィリアムズ主演で映画化されると聞いたときは絶望した。オレの嫌いな2人が、アシモフの小説をメチャクチャにしてしまうに違いないと思った。
時は流れてようやくビデオで観ましたが、意外や「ロボットがいる世界」と「アンドリュウ・マーティンの200年」をクソマジメに描いていることに好感を持った。SF映画は、恥ずかしがらずにクソマジメに作ることがいちばん重要だとオレは思う。そこをこの映画は外していなかった。
この映画への不満は2点。アシモフの傑作中篇「バイセンテニアル・マン」ではなく、ロバート・シルバーバーグの無意味な長篇化リメイク本(駄作)を原作としたこと。そして、ロジックの面白さを描かずにいきなりベタベタのメロドラマにしてしまうことで、アシモフならではの面白さを大幅に減じてしまったこと。
アシモフの「バイセンテニアル・マン」は、創元SF文庫「聖者の行進」に収録されてます。興味ある方は読んでください。
オレの個人的願望を言えば、アシモフのロボットもの・ファウンデーションものの数万年に及ぶサーガをロバート・ゼメキスに映像化して欲しい。彼の生真面目さと誠実さは、本質的にアシモフにあっていると思う。
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