[コメント] ある日どこかで(1980/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
リチャードが去ってしまってからエリーズはどうやって過ごしたのだろう。 何の説明もなく忽然と消えてしまった、生まれて初めて愛した男(ひと)。
「何故?何があったの?」
数日間ただ泣きじゃくるだろう。そして、迎えに来たマネージャーに手を引かれながら再舞台へと戻る。彼女の演技はどことなく哀愁が漂い、人々の心に残る。
何人もの男達に結婚を申し込まれるも、彼女が首を縦に振ることは無かった。舞台だけが彼女の居場所だった。「ここに居ればまた彼に逢えるかも知れない。」リチャードへの思いを胸に生きる彼女。あの夢の日から22年経ったある日、彼女が耳にしたのは「ラフマニノフのラプソディ」だった。レコードの前にしがみつくエリーズ。そして彼女は気づく。彼は幻ではなく未来からやって来た人だったのだと。
それからの彼女は、再びリチャードに会える事だけを支えに生きていく。
月日は容赦なく過ぎていく。30年・・・40年・・・ 彼女は想い出の時計に向かって話し掛ける。
「早く私の前に現れて。もう私はこんなおばあちゃんよ。」
恋しつづける彼女は年をとっても尚、美しかった。―――65年。長い長い長い恋物語。
彼女がどんな思いで過ごしていたかを想像するだけで、心が痛くなってくる。今度生まれる時は一緒の時代に生きよう。あと少し。あと9年待っていて。僕もそこに行く。
死に際のリチャードが見た二人の姿が二人の未来であって欲しいと思う。止まってしまった二人の未来だと。
クリストファー・リーブ以外それといって有名な俳優は出ていないのに、心に残る映画に仕上がっている。上質な演出だとこうも上手くいくのかと、感じさせてくれる作品。
この映画は、公開してわずか2週間足らずで酷評のあまり打ち切りになったとか。こんなにも切ないのに。こんなにもいい映画なのに。昔の事ながらとてももったいない・・・・と思ったのでした。
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