[コメント] 白い恐怖(1945/米)
ヒッチコック作品の大きな特徴として”女優”の存在に目を奪われることがある。殊にイングリッド・バーグマンのこの魅力。官能と知性のミックス。
Spellbound=おまじない。この白地に縞の模様、邦題の付け方も見事である。映画を見る際にそのタイトルこそが見る時のきっかけだ。必ずしも原題通りである必要はない。その映画のそしてその作者の意思が伝われば良い。
さてバーグマンである。彼女の個性、彼女の存在、その姿、笑っても陰りがあり、ジョークを言ってもきまじめさが伝わるその姿勢。早くから両親を失った彼女の幼い頃からの気丈な人生が画面にも表れる。前年、『ガス燈』でベティ・デイビスらを抑えてアカデミー賞を受賞しているが、この『白い恐怖』の演技を見てもその名残が伺えよう。
またセルズニックである。ヒッチコックがハリウッドで映画を作ることになった仕掛け人。あの『キングコング』を、あの『風と共に去りぬ』をそしてあの『第三の男』を製作した大プロデューサー。この作品でもヒッチコックに存分なる信頼を置いていることがわかる。
幻想シーンはダリ。奇才。ブニュエルとの仕事をイメージしがちだが、この映画にも協力している。
隅々まで気配りされた、そしてイギリス紳士ヒッチコックのしゃれたセンスも、いずれも見事な作品へと押し上げている。
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