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[コメント] 明日に向って撃て!(1969/米)

声高な主張は必要なくとも劇的な強度が薄く突出した魅力のないSO-SOアメリカン・ニューシネマ
junojuna

 カウンターカルチャーを代表するアメリカン・ニューシネマの傑作として語られる本作であるが、唯一興奮できるのは導入部分のセピアで描かれるスタイリッシュな映像美術だけであった。劇中にポール・ニューマンに語らせた「俺たちはもう若くない」という台詞がこの映画の貧弱な活劇性を物語ってしまったかのような皮肉な始末である。あくまで物語上に表出される登場人物の心情を主題においてこの映画を語るとすれば、主人公二人のアウトローとしての装いを生きながらにして見据える希望を込めた将来性の提示があまりに華奢であるため、主人公がそれを達成できないであろうと予見される瞬間においてその悲劇性の表出が弱く得がたい感動には至らないのである。クールであることが当時のムードに叶った作劇手法であったのかも知れないが、映画を映画たらしめるものはやはり登場人物の葛藤や危機の配置の妙によって生まれる雰囲気描写の深さである。ムーヴメントの枷に嵌め込んだシステムムービーでは色褪せるのがその宿命である。

(評価:★3)

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