[コメント] ラスト・タイクーン(1976/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
映画ジャンルの一つとしてバックステージものというのがある。これは映画あるいは舞台製作そのものをドラマ化することで、かなりの数が作られており、傑作も多い。舞台に上がる役者の晴れ晴れしい顔と、現実世界の顔のギャップを描いたり、あるいは困難な映画製作をコメディ仕立てにしたりと、幅も広い。
その中で揶揄の対象にされやすく、コメディ仕立てになるのが多いのが製作者の立場。出資者と映画の間に立ち、その調整役となるのだが、彼らは映画の予算を立て、双方に納得させつつ映画作りを進めていくことになる。映画そのものを作るか否かを決め、更に監督にも色々注文を付けられるという特殊な立場にあるが、立場上、出資者、監督の双方から恨まれやすい。金をくれとせびる監督と、金を出し渋る出資者の間であたふたする様は確かにコメディになりやすい。本作のモデルになったタルバーグ自身、シュトロハイム監督の大作『愚かなる妻』を8時間から2時間に切ったりして、相当恨まれたことも多いらしい。
ただし、本作はコメディ要素は全くなく、映画ビジネスを生き抜こうとする一人の男の生き様を冷徹に描いているのが特徴。
それに本作に登場するキャラも当代随一の名優ばかりで、凄く金がかけられているのは分かるし、その抑えた演技は評価されるべきなのだろう。しかし、物語があまりに重い上に物語の展開がもっさりしすぎ。プロデューサーを描くのだったら、もっと派手なパフォーマンスとかが欲しかった。本当にみんな抑えに抑えた演技をしてくれるので、気軽に観るには重すぎるし、話自体もかなり退屈。
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