[コメント] ゴジラの逆襲(1955/日)
銀幕登場後間もないゴジラを、すでに天災かなにかのように諦めさせてしまった罪は重い。だが、光と燃え立つ炎に限りなく惹かれるというゴジラの習性を活かしたことは、彼を単なる原始の巨獣には貶めなかった。そこは評価する。
大阪はゴジラと、もう一匹アンギラスのために灰燼に帰したのに、何故か人々の表情は明るい。これは天災というよりは、あの太平洋戦争をも乗り越えて立ち上がった人々の逞しさと見るべきなのだろうか。いや、もう慣れただけか?初代作品を引きずる唯一のキャラ、志村喬だけがやたらにペシミスティックになっていたところに、自分はなにかの作為を感ずるのだが…。
ゴジラはやはり、夜の街を舐めるような火災に照らされて咆哮している姿が一番カッコ良く見える。今回、それは囚人の脱走失敗による事故というマヌケなイベントが用意したものとなってしまったが。オホーツクの孤島でひとり佇む滑稽さは願い下げだ。ゴジラは夜とともに現われ、夜明けとともに退場してほしい(そういう作品がどれだけあったかは別にして)。
佐藤勝の音楽は、この作品に関しては結構合っていたように思う。
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