[コメント] ゲッタウェイ(1972/米)
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マックィーンはハリウッドの生んだ大スターであることは間違いないが、彼の魅力と言うのを考えてみると、彼は「アメリカ人」であり続けたと言うことに尽きるのではないかと思われる。では映画におけるアメリカ人とは何か。と言うと、これは現実世界の姿ではなく、理想化された姿であるわけだが、その理想とは西部劇の時代からの伝統がある。先ずとにかく強い。銃であれ拳であれ一発で相手を倒してしまうし、酒にも強い。そして自分なりの信念を持っている。いかにだらしない生き方をしていようとも、筋が一本通っていて、それを曲げる存在を許さない。そしてその信念とは、騎士道精神に根差したものだから、基本的に弱いものに対して手を上げることはしない。そして特に女性に対してはとてもシャイなこと。このくらいかと思う。
この典型と思われるのはジョン=ウェインであり、ゲーリー=クーパーであったりするわけだが、さて、それではマックィーンはどうか?
自分で書いておいてなんだが、改めて考えてみると、合っているような、合っていないような…
ではそここに70年代と言う要素を入れてみたい。この時代はヒッピー文化で表されるように、反逆の文化を持っている。まさに反逆児の要素を持っていたのが一つの要素だろう(本作で怒りに任せて女性を叩くシーンは当時では考えられなかった)。しかもマックィーンの場合ポール=ニューマンやマーロン=ブランドのように、完全なる反逆児として描かれているわけではない。
結果的にこのバランスが絶妙に噛み合ったのがマックィーンという存在だったのではないだろうか。まさに70年代におけるアメリカ人の理想そのものが現れた存在。だからこそ大いに受け入れられたのだと私は思う。
ところで、このアメリカの具現と言うのは何もアメリカ国内に限ったことではない。何より彼の人気を支えているのは日本で、群を抜いた人気を博した。これも単なるマックィーンの格好良さに限ってではなく、アメリカに対する憧れが加味されたものだったのかもしれない。
それで本作そのものは彼の役割にぴったりと合ったピカレスク・ロマン。法的常識的には褒められたものじゃないし、あらゆるものを破壊しつつ愛の逃避行なんてのも、完全に常識を逸脱してるが、観てる側が彼自身の持つ法に否応なく巻き込まれていく。観てるうちにいつの間にか彼の考えに同調してる。これもマックィーンの強烈な個性あってのことだろう。マッグローに対する勝手さは、惚れあっている仲だからかな?
描写で言っても、容赦ない暴力描写を撮らせたら随一のペキンパーの演出は冴えわたってる。常にアクションが続くのではなく、ポイントを絞ったアクションシーンが映えている。
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