主人公がいわれの無い被害に遭った被害者遺族を訪ねて全国を旅するという構成が、ロードムービー、オムニバス的な展開になってて、ダラダラしがちな木下演出がテンポ良くなっている。

初めて見た時は、高峰秀子という偉大な女優を余り知らない状態で見たが、ラストのセリフには鳥肌が立ったなぁ。今見ると、「熱演」を最も嫌ってるはずの高峰が熱演してるのが気になるけど、やっぱりラストは鳥肌が立つほど上手いし、本作を最後に引退してるから感慨深い。

少ない出番ながらキャストも豪華だし、田中健×大竹しのぶの『青春の門』のコンビがまた恋人役だったり、若山富三郎と義理の兄妹である中村玉緒の共演とか面白い。

タクシーの列に割り込んだ酔っ払いの消防署員を咎めた夫を殴り殺され、幼い子を抱えて生活保護を受けている主婦という役で特別出演（？）してる吉永小百合が意外なほど似合ってる。今だったら、こんな役、全然似合わないのになぁ。この人って大作の主演とかより、これくらいの位置の方がお似合いな女優なのかも。良く言えば、大物脇役。笑