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[コメント] タクシードライバー(1976/米)

月が落ちる。
G31

 デ・ニーロ若い!    ・・・けど若さの似合わん人だ。

   ◇

 同じタクシー・ドライバーを描いた作品で『月はどっちに出ている』というのがあったが、トラビス(デ・ニーロ)はどこかに月を見たのだろう、狼男のように突如変身し、咆哮する。今見ると、トラビスの身分が元海兵隊員だったりとか、世界を浄化したいみたいな衝動を内心深く持つ男という設定だったのだな、とわかるが、二十歳前後に見たときはそういうところは気づかなかった。今見ると、トラビスはアメリカ社会が内に秘めた狂気を一人で体現し、正しい時と場所を得てそれを発露させてしまった、正真正銘のアメリカン・サイコだ、と思えるが、当時はそんなには悪く思えなかった。今見ると、この映画に月は見出せないが、当時は、・・・いやきっとトラビスと同じように、月は自分の中にあったのだ。

 その月とは、この映画は世間の評判がいい、というような風評だったりするのかもしれないけど。しかしなんとなく昔感動した記憶も甦って見るので、いきなり嫌いにはならない。もし今初めて見たとしたら、音楽も作為的に暴力的だったりしたし、嫌うタイプの作品かもしれない。

75/100(07/04/07再々見)

(評価:★3)

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