[コメント] スリーパーズ(1996/米)
曖昧なエンディングは、哀しい復讐劇に相応しい。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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確かに復讐肯定と言われてしまっても仕方のない内容かもしれないが、あれは明らかにハッピーエンドではないだろう。少なくとも全面的に復讐を賞賛しているとは思えない。5人揃っての束の間の祝杯は、復讐が成ったことよりも、ひと時だけでも再び子供時代と同じくバカ騒ぎができるようになったことへの歓びの方が大きいように感じられる。
ヘルズキッチンの貧しくも逞しい人々の営みはノスタルジックで、彼らの恐怖をともに味わえるような少年院生活を描いた映像は、ジョン・ウィリアムズの荘重な音楽を伴いなかなか見応えがある。
惜しむらくは欠落であるとしか思えないようなストーリーの粗末さが散見される点。神父が何ゆえ最終的に偽証をすることとなったのか、その過程が説得力不足だし、証人として出廷した元看守のひとりがあっさり性的虐待を告白してしまうのもやや出来過ぎな感がある。デニーロもホフマンも彼らが演じなければならないような役ではなかったというのは確かにその通りだが、まあそれはそれでいいのでは。豪華キャストと長尺で必要以上に名作たらねばならないようなハードルを自らに課してしまった感があるが、そういったフィルターを外して素直に観てみればそれなりに良い映画だと思う。
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