[コメント] 愛の嵐(1973/伊)
蓼食う虫も好き好きの元祖『完全なる飼育』、という以上のものは何も見出せない凡作。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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オーストリア(ヒトラーの故郷だ)のナチの生態を指摘した価値は高かろうが、このナチの残党たちはどこが悪人なのかほとんど判らない。オスカー・ワイルド的な旧貴族の没落ダンディズム趣味とナチを意図的に混淆したとしか思われず多分に趣味的。まあ実際、ミシマ的な右傾化した製作陣なんだろう。
2時間の持ち時間が大して有効活用されていない。ダーク・ボガードが釣りで仲間を殺す件をなぜ撮らないのか理解に苦しむし、後半の軟禁にしてもとっとと逃げ出せばいいのにと思わされるばかり。ラストは射殺されようと橋の上に身を晒したということなのか。そうでなければ、もっと上手く逃げればよいだけの話である。こんな連中、死にたいのなら別に誰も止めやしない。頽廃に付きものの実に当たり前の収束で、観る前からこうなるのは判っている。だから本作には発見というものがない。
シャーロット・ランプリングの三白眼はこの頃から怖い。彼女の性癖がナチへの親和と重ね合わされる息苦しさが伝わってこその作品だっただろう。本作からそれを読み取ることは困難である。
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