[コメント] 満月の夜(1984/仏)
人は、他人の都合の悪い所を見ずに済ませる事で幸福になり、都合の悪い事が見えない所で起こるせいで不幸になる。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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今回の格言――「二人の女を持つ者は魂を失い、二軒の家を持つ者は理性を失う」。
自然と一緒にいて色々な事を遠慮なく語り合う相手が、恋人ではなくて友人だったという事。『友だちの恋人』などでも描かれていた、友情と愛情の微妙な違いと連続性。
最後に、居場所を失ったルイーズが独り歩いていく場面では、もう一つの住まいに向かっている彼女が、当てどもなく彷徨しているように見える。彼女の向かう先から、一人の男が歩いて来てすれ違うが、彼は顔も髪も服装も真黒。ルイーズの姿が画面から完全に消えてから、スタッフロールが入る。不在と欠落を埋めてくれる相手に会いに行くルイーズだが、誰かに会いに行く、という行為そのものに、どこか虚無感が孕まれている。
他の男と寝て改めて恋人の価値が分かり、眠れない満月の夜を越えて恋人の許を訪ねた結果がこの結末だというのもまたロメール一流のシニカルさ。
倦怠期の恋人達の姿というのは、傍目から見ても退屈なものらしく、『喜劇と格言劇』シリーズの中で恐らく唯一、睡魔の訪問を受けた作品だったけど、ルイーズの舌足らずな甘い声が心地好かったせいもあるのかも知れない。
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