[コメント] 許されざる者(1992/米)
「インディアン」も、黒人の立場も、西部劇で巧妙に隠されてきた暗部は全て白日のもとに晒されてしまって久しい。そんな頃、再びイーストウッドは賞金稼ぎを演じる。それは格好いいアウトローではなく、老いに身を削りながら汚い金を子供らのために稼ごうとするいにしえの蛆虫野郎だ。
西部劇全盛の時代であれば、イーストウッドは英雄として描かれたに違いない。だがウエスタン・スターたちは銀幕を次々に降りてゆき、残されたイーストウッドは子供じみたハリウッドの体質に否応なしに目覚めさせられてしまった。ゆえにこの作品のような主役が生まれる。彼は妻と子のために舞台を降りたロートルの筈だった。それだけに、最後の友の仇への復讐は決してカタルシスをもって語られるものではない。ただ、ただ哀しいだけである。
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