[コメント] しとやかな獣(1962/日)
原作は戯曲なのだろうか。中空に浮いたかのようなアパートの部屋に巣くった欲望と邪心を、内と外、上と下といった「視線」と「視点」の変化でさばく川島演出が見事。「世間」に対する若尾文子の静だが強烈な攻撃力と、伊藤雄之助、山岡久乃の達観した守備力の妙。
日常のなかに散りばめられた不穏さの演出がすばらしい。床から天井まで広がる一面の窓と、豪雨のなかの高所からの落下の予感には後年の『沙耶のいる透視図』(86)を、屋外から聞こえてくる蒸気機関車やジェット機、ヘリコプターの轟音には『家族ゲーム』(83)を連想した。
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