[コメント] 桜桃の味(1997/イラン)
あいたっ。やってしまった。ラストがあまり評判良くなかったのですね、この作品。私はそのラストが気に入ってしまったのです。うーん、困った。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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生まれて初めて、1分間も続く真っ黒な画面に興奮し、そこからラストまでをビデオで繰り返し泣きながら見ました。
そこまで延々と淡々と続いてきた死を語ることで生を語るつづら折れの道には、ちょっとした恍惚を感じながらも、なぜか違和感が付きまとっていて、それが、あの時点でぱーっと一気に払拭された、という気がしたのです。それまで眺めていたもの、聞いていた言葉、その全てが、反転してひとまとまりになって画面のこちら側に身を乗り出して押し寄せて来た瞬間だったと思います。何と言うか、他人事では済まされなくなったと言うか。あまりにも生々しく「語ることだ、考えることだ、さあお前は」と突き付けられて正直ひるんでしまって涙が出ました。
ラストで作り物だったことを見せた、というよりも、作り物だったのが作り物でなくなった、と私は受け取りました。
なんだか巧く言えないので、安っぽい言い方になってしまいますが、映画のストーリーの結末よりも、今ここで私たちが、そこでキアロスタミさんが、考えたり考えさせられたり考えさせたり、対話していることの方が、より、人生。それだけは間違いないですよね。
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