[コメント] 命美わし(1951/日)
会津若松のお城のガイドの声。石垣からお堀にかかった橋の上で、投身自殺の名所だと云う。夜。お堀からパンニングして、民家の灯り。この、お城の側の家が主な舞台だ。杉村春子と笠智衆が、それぞれ琴と尺八を楽しんでいる。
笠智衆は、予感がすると云い、竹竿を持って濠端へ。こうやって何人も自殺者を思い止まらせて来たのだ。この日、助けたのは桂木洋子で次男の佐田啓二の同級生。また、同時に、長男の三国連太郎が、淡島千景を助けている。この二組のカップルの創生の物語になる。
話の運びは快調。ダイアローグもよく考えてあるし、ユーモアもある。命の尊さという分かりやすいテーマ性や、過去のある女性との恋愛を力強く肯定する部分なんかが、時代の空気の中で受け入れられたのだろうと思われる。しかし、今見ると、中程度の出来としか思えない。画面の見どころはほとんどない。桂木の自殺の原因がきちんと追究されないのも違和感がある。
杉村が佐田のことを「人が柱に頭をぶつけて痛がっていたら、自分も痛がるような優しい子」だと言う。劇中、このセリフを3回繰り返す(3回目は、笠智衆に途中で止められる)。あるいは、終盤、息子たちのことを「二人とも過去のない女性が良いと思っていましたが、これで良かったのかもしれません」と云って映画を締める。このあたりの雰囲気の作り方はヤッパリ上手い。杉村春子が支えている。
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