[コメント] 米(1957/日)
我が邦にも地面に足をつけて撮ろうとする人間ドラマがある。
『米』という題名ではあるが,この作品は農民だけでなく,漁民,更には若者たちの苦悩と青春を,浮つかずに優しい眼差しで描いている。「米」とは,そうした市井の人々の生存の象徴である。
先日,ぼくは髪を染め耳や鼻にピアスをつけ,目の色を黄色や青に変えた娘たちの中に,心の純真さを失わない爽やかな表情を持ったひとに出逢った。誰かに似ている気がしたが,この作品を見て,それは我が敬愛する木村伊兵衛の作品「秋田」の娘と同じなのだと判った。この作品のヒロインも同じ輝きを持った娘である。彼女たちには人工色のコンタクトは要らない。陽の光が瞳を映す時,それはどんなカラーコンタクトよりも美しいのだ。
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