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[コメント] NO選挙,NO LIFE(2023/日)

畠山氏の人物ドキュメンタリーでありつつ、その肩越しに見える泡沫候補者を通して選挙の「常習性」に迫るという二重構造を持ちながら、登場する候補者の人数も時間も限定的にならざるを得ない参院選東京選挙区パートは、やはり焦点が定まらないもどかしさを感じた。
ぽんしゅう

一方、畠山の主観が見え隠れする後半の沖縄県知事選は俄然面白くなる。なんと畠山は知事選出馬を検討しながら最終的に出馬しなかった人たちまで取材する。

共産党員から始まり数え切れない政策集団を立ち上げたり複数の既成政党を渡り歩いたという爺さん(確か80歳くらいだったろうか)は、知事選は勝ち目がないから同時に実施される那覇市長選に出るのだっと言い放ち大型バイクにまたがり颯爽と去っていく。

玉城と佐喜真に勝つためには、今まで投票に行かないかった有権者にアピールして自ら新しい票田を作る必要があり、そのためにはまだ時間がかかるという沖縄生まれで千葉在住の中年男性は、参考にすべきは先の参院戦で勝ったガーシーさんの手法だと言っていた。

さらに立候補した経験がありながら有力候補者たちの違反行為を目の当たりにして、今回は出馬せず街頭に立ちながら玉城候補の選挙違反ウォチングに専念するオッサンがいるかと思えば、その一方、頼まれもしないのに、自作ののぼりを立てて誰もいない住宅街に一人立ち玉城候補の応援演説をするオバサンがいたりする。

そして有名候補者のなかでは『シン・ちむどんどん』(2023)もそうだったように下地幹郎候補がクローズアップされる。この人の言動は、もちろん大真面目なのだがどこかユーモラスで強面ながら愛嬌があり、なんとかしてやりたくなるムードを漂わせる。度重なる落選にもめげない下地候補の懲りなさを丁寧にフォロー取材する畠山理仁の生真面目さに「選挙」に憑かれた者同士の"どうしようもなさ"が重なる。

(評価:★3)

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