[コメント] ドリームプラン(2021/米)
これもとても佳い映画。原題タイトルロールの通り、父親リチャード−ウィル・スミスの映画だが、母親とビーナス、とりわけビーナスが主役でもある。セリーナへの目配せも効いているが、役割は小さい。
描かれるプロットは、ビーナスのプロデビュー二戦目、サンチェス・ビカリオ戦の終了後までなのだ。ただし、この試合の開始前に、コートの手前で立っているセリーナを映すシーンは良い光のシーンだ。父親ウィル・スミスが来て「お前は史上最高のプレーヤーになる」と云う。
全体にきめ細かなカッティングと、奇を衒わないが、完璧な構図のカットの連続だと思う。撮影は名手ロバート・エルスウィット。ほんの少しズームを動かすカットはあるが、全然これ見よがしではない。美しい構図を求めて微修正しているように見える使い方なのだ。あるいは、サーブ動作のカットを繋げて時空を飛ばすカッティングが2回あるが、基本は、カメラや繋ぎを意識させない画面作りだと思う。役者、キャラクターに観客を集中させる演出意図だろう。
そんな中で、父親リチャードのキャラは、気難し屋の戦略家(原題が喚起するイメージ)で、共感性に難はあるが、子供たちに対する真摯な熱情には、こちらも胸の熱くなるシーンの連続なのだ。ビーナスもセリーナも素直過ぎるキライはあるものの、彼女らのリアクションの可愛らしさにも心打たれる。劇中何度も涙を抑えられなかったが、暗転後のホームビデオ映像でも、泣きそうになり、困ってしまった。
尚、邦題の「プラン」も、全編を支配するキーワードで、私は基本、原題を優先させた邦題にして欲しい方ですが、これは素直に受け入れられる邦題だと思う。
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