[コメント] ラストナイト・イン・ソーホー(2021/英)
華やかな世界に憧れ、夢見ながら、無残に踏みにじられし者の悲しみに寄せる心根は気高く美しい。苦手な部類の映画だが、その美しさに救われて、鑑賞後の気持ちは心地よい。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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最後の方、エリーはベッドを取り囲んだ男達に「助けてくれ」と縋りつかれ、「あの女を殺してくれ」懇願された。それをはっきりと拒絶し、サンディに生きようと抱きつく姿は美しかった。
これが逆にエリーがナイフでサンディに立ち向かっていたら、本作はただのありきたりの三流ホラーにしかならなかっただろう。
華やかな世界での成功を夢見て踏み出しながら、いいように利用され食い物にされてきた、その経過を見てきたエリーの、サンディに対する感情は、たとえただの同情であったとしても、「あはれ」を呼び起こすのだ。
この「もののあはれ」といい、全体としてまるで怪談のような物語といい、なんだか日本的な感じがしないでもない。
ところで本作は、すこし気にはなっていたが、60年代のソーホー地区の何たらかんたらとかには興味もないし、何だかホラーらしいので観る気がなくなっていた。
それがシネスケで主演女優さんの出演作を見て、『ジョジョ・ラビット』のお姉さんトーマシン・マッケンジーと、『サラブレッド』のお姉さんアニャ・テイラー・ジョイの、素敵できれいで凛とした二人のお姉さんの競演と気がついて、なんとしても見なくてはと思って、観に行った。
そういう期待とはちょっと違った感動ではあったが、心地よい気分になれた映画だった。これもまた、シネスケのおかげである。
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