[コメント] くれなずめ(2021/日)
誰にでも覚えのありそうな共感しやすい話しなのだが、何故かしっくりこない。6人のキャラの立ち方とアンサンブルの“具合”か、シーンのトーンチェンジや、時間コラージュの“心地”の問題だろうか。作者が狙っている“曖昧さ”が曖昧さとして伝わってこない。
キャラクターで言えば若葉竜也、浜野謙太、目次立樹の役割は典型的で分かり易いが、高良健吾と成田凌のキャラの対置軸が表現(演技)としてはっきりせず、ときおりだぶって見えてまった(高良の口調や仕草が彼の好演作『横道世之介』にそっくりなのが私は気になった)。一方、6人のなかでは少し引いたポジションで冷静さを保ち、状況のいさめ役の藤原季節が印象に残るのは、彼の視線がいちばん観客に近いからだろうか。
終わって振り返れば、冒頭のしつこいまでの長回しが“吹っ切れない”彼らの思いを視覚化していたようで感慨がある。とは言え、話の根幹にかかわるネタが早々に明かされるのだが、その“秘密”が話しの展開のなかで宙ぶらりんな印象を受け、主題を語るために効果的だったのか、いささか疑問。
クライマックス(?)は、あえてチープさを狙ったのかもしれないが安易な逃げに見えてしまう。俗っぽく大仰なトリップ演出にどう対処してよいか分からずちょっと引いてしまった。もっと素直に「引きずること」の葛藤と“しかたなさ”を受け止める方が、私の心情には合っているのですが。
とりとめのない感想になってしまった。だって、とりとめのない映画だったから、と言ったら責任の転嫁でしょうか。
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