[コメント] なぜ君は総理大臣になれないのか(2020/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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面白いのは、主人公である候補者が善い人物だから。そして巻き込まれる家族や周囲のスタッフも、結局彼を心底応援するから(立派だ)。それでも事態は厳しく、苦労しながらも諦めないから。
しかし監督に言われたからでもなく、やはりこの人、総理にはなれそうも無さそう。ではどんな人物なら大臣に相応しいかと言えば、矢張り「頼れる政治家」なのだ。好人物で我々の気持ちを理解してくれそうなだけでは、近所の小父さんでいいのだ。
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この映画、ずっと気にはしていたが、2021年の立憲民主党代表選直前にやっと観たのだった。もっと前に観とくべきだったと後悔しきりだが、同時に味わい深かった。映画でも、終盤に彼は若干の深化を遂げつつあった様に見えた。この儘ではまだまだだろうが、しかしこれからが見ものだ。
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法政大の上西充子教授が推薦コメントとして「小川議員へのダメ出しの様なタイトルだが、見終わって気づく。問われているのは、有権者である私たちなのだと」と書いたのを、監督の大島 新が「ズバッと映画の本質を突いて頂いた」と言っている。「この人物を選択出来ない我々とは何なんだ」という意味なのだと思うが、それを聞いて俺は「そうか?」と思った。政治家は好人物であるだけではダメだ。また少数者への共感は重要だが、少数者にすり寄る様な言動ばかりではいつ迄経っても少数派でしかない。そう思って上記の感想を書いた。 映画では小川議員の人柄や選挙運動しか描いていないからそういう事になるのだが、映画観賞後、小川議員の国会質疑を(有名なヤツ含め)改めて何本かジックリと視聴し直した。
するとどうだろうか。こんな人だったかと思うくらい舌鋒鋭く政府を追及している。これぞあるべき姿だ。政治家は国会での姿(パフォーマンス)、公共一般でのイメージ作り、選挙という異常な空間、それぞれ異なる別の戦場を戦わなければならないのだから大変だとつくづく感じた。しかし彼には、与党=自民党支持者にこそ言葉を届けて欲しい、彼等を動かして欲しいと思う。
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