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[コメント] ある少年の告白(2018/米)

今売出し中の2大若手俳優ルーカス・ヘッジスティモシー・シャラメの新作を同じ日に鑑賞。タイプの違う2人だが、出演する役どころは似ているかもしれない。
プロキオン14

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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ストーリーは、ゲイであると両親に告白した少年が「矯正施設」に入れられ、そこで受けた非人道的な「治療」からの脱出と告白。この映画を見て、アメリカという国は、もっともっとオープンな、自由な国だと思っていたが、「男は男らしく」みたいな、そういう既成観念が根強い、特に地方ではそんな感じなんでしょうか?特に「信心深い」ことが一因なのかも。

そこに集められた少年そして少女、おっさんもいたな。「病気」を治すような、「洗脳」にも似た矯正を強いる。レッチリのフリーのような刺青のコワモテに本気で凄まれたら、怖いに決まってる。だから、慣れた入所者は「ふり」をしてやり過ごすことで、早くそこから逃れようとしている。

この映画は、そんな施設が米国中に「山ほど」あるということを明らかにした。それはこの映画のように「宗教的な」観念だったりする。そう思うと、『スポットライト 世紀のスクープ』のラストでの「小児(男児)性愛の聖職者」が「山ほど」いるという事実の暴露が並ぶことが不思議だ。

日本にはそんな施設はないと思ったが、例えば「精神疾患」の人を「入れてしまう」ような「施設」はたくさんあることを考えると、急に身近な印象だ。家族との関係も。

この映画に話を戻すと、告白した息子に、ショックを受けながらも、息子を愛している、守りたいという母親と、もちろん愛しているが、受け入れられない、何とかしたい父親との「温度差」が最後まであった。自分がこの立場なら、親の立場なら、どうしたのだろうと考えさせられた。

俳優の話。ルーカス君は、ヨーロピア〜ンな美青年のシャラメ君と比べると、はっきりといかにもアメリカンな顔立ち。それでいて、「ゲイ的な役」「ジャンキー役(ルーカス君は次作)」、同じ映画の中での「シアーシャ・ローナンの彼氏役」と、共通項が多い。どちらも20代前半でアカデミー賞にノミネートされるなど、いま勢いのある俳優さんだ。個人的には、ルーカス君のほうが好きだ。『スリー・ビルボード』で、DV父親ののど元に包丁を突きつけた時の、泣きそうだが強い目をしていたシーンが印象的だ。

もうひとつ、グザヴィエ・ドランはカミング・アウトしているだけでなく、自身の監督作も、出演作においても、その問題に向き合っている。きっと自身も色々な「差別」を経験してきたんだろうと思う。常にそういう所で「戦っている」んですね。すこしだけこの映画も、「彼が監督したら」どんなテイストになったか、ちょっと興味があります。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)jollyjoker[*]

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