いやー、しばらく前に見た作品でしたが究極のミステリーという謳い文句に惹かれたはいいものの、結構ポカーンとラストを迎えてしまったのでそのまま放置状態になってました。

やはりミステリー作品だと思って構えて見始めたわけですが、前半ははっきり言ってミステリーというよりは男女の三角関係を描いたドラマなんですよね。しかもかなり淡々とした。 冴えないジョンスは感情がわからんでもないけど内気過ぎるし、ヘミは天真爛漫で掴みどころがないし、ベンは金持ちでいい奴のようだけどどこかいけ好かない。この３人が一堂に会する田舎のジョンスの実家でのシーンは無性に哀愁があって、加えてヘミのあの妖艶なダンスですからね。『オーバーフェンス』の蒼井優を彷彿とさせる魅力があり、とにかく印象的でした。

ただ、ここからガラッとテイストがミステリーに進展していきます。とは言え本作の場合は、単純なミステリーというよりは解釈が幾通りもできるように伏線が散りばめられ過ぎて、不思議な感覚も覚えます。というより何が正しい解釈かというより、この作品を、あのシーンを、あの会話をどう捉えるかが主題と言えばよいのか。表現に困りますが、間違いなくキーワードになってくるのがあのヘミのパントマイムの説明ですね。

「パントマイムのコツは、そこにミカンがあると思うのではなくて、そこにミカンがないことを忘れること」

この事件の真相が何なのか、ビニールハウスやら猫やら装飾品やら、欠伸や井戸や何やらまで、とにかく気になる伏線はたくさんありますが、スッキリとしないのはどうも好まず。せめて自分なりの答えが出るとよかったんですがね。