[コメント] 村八分(1953/日)
この選挙不正事件が実話というから驚かされる。新藤脚本は流石の生々しさ、こういうのを描かせると本当に巧い。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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テンパった中原早苗はこの役処に相応しく、中途半端な立場に立たされた藤原釜足と英百合子夫婦の陰翳が素晴らしい。さもありなんというやり切れ無さ。釜足の俺も村人だ、という憤懣がリアルだ。他の家の話なら率先して村八分に参加するのだろう、この人。バス停で警察帰りの村人に無視される件などゾッとする。
下からの民主主義なんて日本ではあり得ないのじゃないのかという諦念を覚えた。シガラミのないマスコミの重要性、子供たちの重要性が判る。菅井一郎はここでもリアルを表出して素晴らしい。「人の噂も七十五日」と嘯くラストに厭になる。その通りだもの。生徒たちの正義感を信頼して映画は終わるが、こうあってほしいものだ。
校長の詭弁聞いて「ぼくの頭では判らなかった」とやんわり皮肉る山村聰がケッサク。冒頭のタイトルバックらしき逆光の開墾風景にタイトルが絡まないのが独立プロらしい。間に合わなかったのだろう。撮影は良好、伊福部の音楽がいい。
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