[コメント] 劇場版 マジンガーZ / INFINITY(2017/日)
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今更のように平成観客のために、『エヴァンゲリオン』をパクってどうするのよ、と見ているあいだは唖然としていたのだが、やはりこれはマジンガーであり永井豪であった。ブラックホールだのパラレルワールドだのといった「すこしふしぎ」ネタが盛り込まれてはいるものの、見事に昭和の嗜好で成り立ったアニメであることに異論の余地はない。
大切なのは戦士たちもまた好奇心に身を委ねるバトルフリークであり、好奇心で「神にも悪魔にもなれる」メカに手を出す恐れ知らずであり、舞台は論理で動いている人物のひとりもないパッションの王国だ。ヒーローの甲児もさることながら、所長の座をつぐクールビューティー理数科女性のさやかも「今度はまたマシにやります」と事件後の記者会見でのたまってしまう世界観の不変に痺れる。
アンドロイド少女も、事件のカギであるよりは明らかに、往年のファンたちのスケベ精神を満たすこと優先のエッチ要員であったことがいかにも判ってらっしゃる、との感慨が隠せない。ダイナミックキャラは「小難しい論理」に背を向けてバカをやる連中だ。のっそり、せわしの両博士、それにボス一党といった連中が立派に役立つ世界観に不思議もなにもない。そのマンガ的世界の構築は永井豪の「限界」ではなく、立派な彼の「作家性」だ。そのあたり、この作品が幾分ステロタイプ劇に終始するかとあきらめていた自分には非常に嬉しかった。
志水淳児はきちんと永井豪を肌で理解している演出家だ。この作品の試みは成功している。
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