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[コメント] 女神の見えざる手(2016/仏=米)

久しぶりに「女優魂」が炸裂した映画に出会った。隅々までよく練られた、きめの細かい、尚且つパワーのある作品です。
プロキオン14

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ジェシカ・チャスティン、すごいです。こんなに女優の「力」がある人だとは思いませんでした。『ゼロ・ダーク・サーティ』も見たけど、あんまり印象にない。それだけ、この映画の中で彼女の「パワーが炸裂」していました。この映画は「独唱」です。例えるなら「古畑任三郎」の田村正和。

そしてロビイストという、日本ではあまりなじみのないが、実は世界情勢を左右する力を持った存在。それを極端な形ではあるが、白日の下に晒した意欲作。内容ゆえに、評価は賛否両論あるみたいですが、個人的には、想像の余地を残した映画より、「白黒はっきりつけた」映画のほうが好みなので、それをこんなにも「すっきりした結末」で表現してくれたら、私の評価は高くなりました。

銃規制という判りやすい内容で、双方にそれぞれに攻防が白熱して、人間関係もだれが敵か味方か、そして切り札の存在、騙しあい、とにかく中身の濃い、隅々まで手を抜かない見応えたっぷりの映画でした。比べて中身の薄い映画の多いこと。

これだけミス・スローン一点張りになると、周りが「総脇役」になってしまうが、演技のしっかりした俳優たちが固めているので、そこも見どころです。

これだけの演技だから、当然アカデミー賞も主演女優賞にノミネートされていると思ったら、されてませんでした。Gグローブ賞はノミネートされてましたが、受賞は逃しました。やはり賛否両論なのと、限定公開だったからでしょうか?あるいは銃推進派のロビイストの暗躍?

余談:HAL9000さんのレビューで、ラストシーンの出所したリズを「誰かが待っていたか?」という話、私も誰かが待っていたと感じました。じゃあだれが?

エントリーNo.1 男娼フォード君。ちょっと安っぽい恋愛映画みたいでしょうかねぇ。

エントリーNo.2 弁護士ダニエル。ありそうですが、ありきたりかも。

エントリーNo.3 CEOシュミット。責任を感じて迎えに来るのはありですね。

エントリーNo.4 エズメ。おそらく一番葛藤があるのが彼女。リズにとって、一番うれしいのは、これかも。

余談2:エズメを狙った男を撃った男。あいつ、その前に財布を掏ってなかったか?擦って、しめしめと思ったが、なにかの理由があってエズメを追いかけたみたいだが、一瞬のシーンだったので、何だったのか判らなかった。もう一回見たい映画です。

---2回目見ました。上記の男、エズメが落としたボールペンか何かを拾ったみたいでした。スリ扱いしてごめんなさい。

2回目を見ると、いろんなところに伏線があったんだなと感心してしまいます。それに「皮肉という人が皮肉」だとか、なるほどっと思いました。それに周りの「脇役」たちも、結構愛おしい。だけどやっぱりジェシカ・チャスティンに圧倒される映画です。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)jollyjoker

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