[コメント] 人生は四十二から(1935/米)
冒頭から殆ど「2台カメラでのマルチ撮影+アクション繋ぎ」の演出だ。当時のハリウッドではよくある撮影方法だが、アクション繋ぎのダイナミックさを志向したものではなく、芝居をできるだけ途切れさせず撮影し、自然な感情の流れを定着させることが目的のように思われる。
この演出も功を奏しているのだろう、本作のチャールズ・ロートンはずいぶん可愛い。また、ザス・ピッツも可愛いオバサンだ。こんなオバサンがヒロイン、という試み自体が素晴らしい。シュトロハイム『クリード』(1924年作品)から約10年後のザス・ピッツだ。
ヒロインということで云えば、もう一人、サロンというか酒場というかを自宅で主催している女性としてリーラ・ハイアムズという女優が登場する。この人が押し出しのある美人で強烈な印象を残す。彼女が「Pretty Baby」という曲を唄う、英国貴族ローランド・ヤングとのセッションシーンがいい。調べると、『フリークス』のヴィーナスは彼女なのだ。
しかし、本作の白眉は、酒場の主人が「リンカーンのゲディスバーグの演説を知っているか?」と客に聞きまわるのだが、誰も知らず、ロートン一人がつぶやきながら暗唱すると、皆が集まってくる、というシーンだろう。こゝは画面のテンションが異なっている。
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