[コメント] オープニング・ナイト(1978/米)
まず、冒頭の事故シーンに度肝を抜かれるが、その後の中盤の幽霊譚も驚愕の見せ方。画面外からの唐突な運動をこれだけ巧妙に見せる技術がカサヴェテスにはあるのだ。
バックステージものとして完結させたとしても(幽霊譚がまるまる無かったとしても)傑作に違いないのだが、これはエンターテインメント性を向上させるサービス精神と考えるべきだろう。勿論、「老い」というテーマ性を強化するプロットでもあるのだが、テーマ性の組織化以上に画面の強さに貢献する。
そして、相変わらず、俳優のディレクションは即興なのかも知れないが、カメラポジションやフォーカスの演出は、全く即興とは感じられない、間然するところのないものだ。群像劇の中で、ときおり見せる、人物の仰角アップの力強さ。カメラ位置も即興で決め、補完ショットをふんだんに押さえてあったのかも知れないが、それにしても、撮影現場で既にカッティングまで完璧に想定されていたとしか思えない素晴らしさなのだ。
配役では、プロデューサー役のポール・スチュワートと、劇作家を演じるジョーン・ブロンデルが嬉しい扱いだ。2人の鷹揚さが、ジーナ・ローランズの激しさ、厳しさ、恐るべきハイテンションと上手くバランスを取る。
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