災害に直面した人たちがきちんと仕事をこなしている姿だけで映画を完結させた勇気に感謝したい。

バカな味方に邪魔されないという意味では『マッドマックス/怒りのデス・ロード』と同じ。もちろんマッドマックスは「生き延びることだけが目的」の世界で、「状況が終了したあとの身の処し方まで考えないといけない現代日本」とはずいぶん違うのだけど。

そして「ロジスティクスへの愛と尊敬」や「平時には役に立たない異能の人を飼っておける役所の底力」とか「ダメな首相代理が椿三十郎の殿様へのオマージュ」だとか「最後に市川実日子にぎこちなく笑わせる演出」とか「私のような東京城南住民への大サービス」とか、いろいろ個人的にツボでした。

エヴァというより『パトレイバー2』なのも良かった。

（追記） 未見の妻との会話でなんとなくわかったことなんですが、ラップバトルってあるじゃん？あれって愛のある挑発で、その相手が押井守なのか、ゆうきまさみなのか、伊藤和典なのかはわからないけど、シン・ゴジラはパトレイバーに対する庵野秀明からのラップバトルではないかという気もする。

消えた科学者は『パトレイバー The Movie』の帆場だし、東京での戦争は『パトレイバー2』だし、そもそも『WXIII』はゴジラだったし。

そういう意味では岡本喜八の『East Meets West』が黒澤明に対する「またエンターテイメントやろうぜ！」って挑発だと感じたのと同じ印象を受けたのですよ。