[コメント] ANNIE アニー(2014/米)
ヒット作ゆえにオリジナル・ナンバーの魅力におんぶするのみかと思えば、それなりに奮戦しているようで退屈させない。だがコメディ畑のウィル・グラック監督にダイナミックな演出で見せるミュージカルシーンを求めるのは無謀だったか。携帯とヘリの小道具駆使にも無理はあった。クソガキクヮヴェンジャネの好演にもましてディアスのビッチ演技はやはり見事だが、ミュージカルの「特異性」をもっと認識されたい。
ミュージカルの特異性、というのは「奇形的」といってもいいものだ。歌を歌い始めると同時に映画は観客もろとも異世界に吹っ飛び、リアル社会の法則が通用しなくなる、ということ。これをわきまえたミュージカル映画は、その特異性にふさわしいキャステイングを忘れない。求められるのは俳優の才覚だ。
それを思えば、ミュージカル俳優というものが重要視されるのが「ミュージカル」なのだ、という当然の理屈が理解されるだろう。残念ながらほとんどのこの映画の俳優はミュージカル俳優ではなかった。それが残念なポイントだ。いかに芸達者な俳優を配してもミュージカルの成功に結び付くかは全くわからない。それに今の映画人は気づいてほしいものだ。
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