[コメント] 果てなき路(2010/米)
冒頭の、ベッドの上でマニキュアを塗り、ドライヤーで乾かす女(シャニン・ソサモン)に対してゆっくりと寄っていく画面(実はパソコン画面の動画)を見た瞬間に、これは今までに体験したことのない映画であることを了解する。映画中の撮影場面と同じく、全編が「EOS 5D MARKII」で撮影されているのだ。
製作現場、撮影現場についての映画は沢山あり、メタフィクションとして一番外側の(当該映画自体の)撮影クルーを映しこむという試みも決して本作が史上初、という訳ではないと思うのだが(俄かに例が思い浮かばないが)、しかし、こゝ迄大真面目に、全く倫理的に、謎を謎として突き放した映画はそうないだろう。また、序盤の小型飛行機が唐突に湖面に落下するショックシーンが顕著だが、理屈を廃した驚きが連続するのでラストまで興奮が持続する。理屈を理解できなくても良いのだ。まさにヘルマンは「映画がどこに行くか知っているなら、わざわざ作る意味がどこにある?」ということを体現している。そして私たちは映画がどこに行くかを見たいのではない。
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